日本赤十字社 神戸赤十字病院

文字サイズ

  • 標準
  • 拡大
代表
078-231-6006
予約センター
078-241-9273(受付時間:平日13:30~16:00)

交通アクセス

電話する
tel
menu

診療部門

脳神経内科

脳神経内科の診療内容・特色

脳神経内科について

「神経」は自分の体を動かしたり、体の外の情報を認識したりするために働く器官であり、脳、脊髄、末梢神経からできています。脳神経内科では、これらの脳、脊髄、末梢神経に加え、筋肉とこれらの臓器を栄養する血管の病気を主に診療しています。従来は「神経内科」と標榜していましたが、診る病気がより分かりやすいように「脳神経内科」と標榜を変更しています。
脳神経内科の病気の症状には、「しびれる」、「力が入らない」、「よく転ぶ」、「振るえる」、「しゃべりにくい」、「物忘れ」、「頭痛」、「けいれん」、「意識が悪い」など様々です。これらの色々な症状から、神経や筋のどの部分が障害されているのかを見極めるのが、私たち脳神経内科専門医の仕事です。
脳神経内科の病気には、従来は治療方法がないものがたくさんありましたが、近年の医療の進歩とともに、治療薬が次々と開発されています。パーキンソン病は治療薬が増え、身体の機能をより長く維持できるようになりました。多発性硬化症は若い女性に多い病気ですが、投与中でも妊娠可能な薬やより強力な治療薬も出現し、再発の頻度は減少しています。てんかんに関しては、病気の理解がこの数年で格段に進歩し、多くの治療薬ができたため、副作用が少なく発作を抑えることができるようになってきました。このように日々進歩し続ける脳神経内科医療の元で、当科では患者さんにとってより良い治療を選択できるよう心掛けています。

診療内容

当院では、最初に詳細に患者さんの病気の経過(病歴)をお聞きします。症状の特徴を知ることによって、どのような病気なのかをある程度推察することができます。その上で、丁寧な神経診察(神経学的検査)を行います。これにより、脳・脊髄・末梢神経・筋のうち、どの部位が障害されているか判断します。「まず検査」ではなく、これら「詳細な病歴聴取」と「丁寧な神経学的検査」を行い、神経のどこが悪いのかを判断し、適切な検査を行うように努めています。
脳神経内科の検査には、CT、MRI、核医学検査(脳血流SPECT、ドパミントランスポーターイメージングなど)、脳波検査、筋電図検査、髄液検査などの検査があります。脳のCTやMRIは脳の構造の異常を調べる検査で、脳梗塞や脳出血、多発性硬化症、認知症など様々な脳の疾患に行います。核医学検査は、主に脳の機能をみる検査で、パーキンソン病や認知症の診療で用います。脳波検査は、主にてんかんの診療に用います。筋電図検査は、手足のしびれや脱力がある方に末梢神経や筋肉の問題があるかどうかを調べます。髄液検査は、脳や脊髄の炎症(髄膜炎や脳炎)が疑われる方に行います。
これらの検査結果を基に総合的に判断し、診断した上で治療を行います。
また脳卒中診療に関しては、当院脳神経外科、隣接する兵庫県災害医療センターと連携し迅速な治療を行っております。

各症状から考えられる病気

しびれる
「しびれる」ということは、主には「ビリビリする」「ジンジンする」などの感覚に異常がある場合に使います。急に体の半分にしびれが出る場合は、脳卒中を疑います。両手先や足先にしびれが出るのは、糖尿病性末障害の代表的な症状です。
具体的な病気
脳梗塞、脳出血、頚椎症性神経根症/脊髄症、糖尿病性末梢神経障害、ギラン・バレー症候群 など
力が入りにくい
脱力感を感じる場合は、脳、脊髄、末梢神経、筋肉など、様々な病気が考えられます。突然、体の半分に力が入りにくくなった場合は、脳卒中の可能性があるため、すぐに医療機関を受診してください。顔以外の体半分の脱力がしびれを伴って少しずつ進行する場合は、脳の他に脊髄の病気の特徴でもあり、頚椎症性脊髄症や、脊髄炎の可能性があります。朝は大丈夫でも、夕方になると脱力感や倦怠感があるのは、重症筋無力症に特徴的な症状です。ご高齢の方は感染症など他の病気にかかっても脱力して立てなくなることがありますので、症状以外に熱や血圧なども確認してみてください。
具体的な病気
脳梗塞、脳出血、頚椎症性神経根症/脊髄症、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、ギラン・バレー症候群 など
歩きにくい
歩きにくさは、症病気によって様々な特徴があります。前につんのめってしまい、小刻みになる歩き方は、パーキンソン病に特徴的な症状です。歩きにくさに加えて、階段を登りにくい場合は筋炎など筋肉の病気の特徴です。足幅を広く歩く場合は、脊髄小脳変性症など小脳の病気の特徴です。
具体的な病気
パーキンソン病、脊髄小脳変性症、末梢神経障害、筋炎 など
頭が痛い
頭痛には、大きく分けて、全身の病気の症状の一つとして出る頭痛(二次性頭痛)と、脳や血管などの機能の問題で起きる頭痛(一次性頭痛)の二種類があります。二次性頭痛には命に関わるものもあるため、今まで感じたことのないような激痛や発熱を伴う場合は、脳出血や髄膜炎の可能性があるため、すぐに医療機関を受診してください。
具体的な病気
一次性頭痛(偏頭痛、群発頭痛、筋緊張性頭痛 など)、二次性頭痛(脳出血、クモ膜下出血、髄膜炎、脳炎 など) など
意識が悪い
意識が悪い場合は、「ぼーっとしている」「同じことばかり言ったり、したりする」「言葉の受け答えがおかしい」「すぐに寝てしまう」「目を覚まさない」「急に意識を失った」などがあります。すぐに目が覚める場合は、失神の可能性があり、心臓の病気の可能性があります。意識が悪いことは脳の病気である可能性が高いため、すぐに医療機関を受診してください。
具体的な病気
脳梗塞、脳出血、脳炎、失神、認知症、てんかん など

患者さんへのメッセージ

脳神経疾患は症状が多種多様であり、患者さんが少ない希少疾患も多く、早期診断や早期治療が難しいことが多くあります。一方で高齢化社会とともに認知症やパーキンソン病などの疾患は年々増加傾向であり、最先端の治療方法のみならず、個々のケースにあった細やかなケアも要求されます。
当院では医師だけでなく、看護師、理学療法士、作業療法士、言語療法士、ソーシャルワーカーなどのメディカルスタッフとともに、患者さんにご納得いただける医療を提供できるように心掛けています。

スタッフ紹介

脳神経内科部長本岡 里英子(もとおか りえこ)

卒年平成19年 神戸大学医学部卒業
所属学会・専門資格等日本内科学会専門医・指導医
日本神経学会専門医・指導医
日本脳卒中学会専門医
日本認知症学会専門医

脳神経内科副部長渡部 俊介(わたなべ しゅんすけ)

卒年平成25年 高知大学医学部卒業
所属学会・専門資格等日本内科学会認定医
日本神経学会専門医
日本臨床神経生理学会専門医(筋電図・神経伝導分野)