日本赤十字社 神戸赤十字病院

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診療部門

形成外科

形成外科の診療内容・特色

形成外科について

当院では平成24年4月に、神戸大学形成外科初代教授である田原真也を部長として、形成外科を開設いたしました。
当科は、神戸赤十字病院・兵庫県災害医療センター形成外科・創傷治療センターとして、神戸赤十字病院、兵庫県災害医療センターの2病院にまたがる診療科として機能しています。頭部顔面外傷では、新鮮骨折の手術や後遺症としての顔面神経麻痺、眼窩・眼球・眼瞼などの醜状変形、咬合不正、顔面骨骨折の変形治癒症例に対しても、さまざまな形成外科的手技を用いて機能、整容の再現を行っています。他にも新鮮熱傷および熱傷後の瘢痕拘縮手術、乳がん切除後の乳房再建をはじめとする再建外科、眼瞼下垂などの変性疾患の手術治療など、われわれが得意とする傷病は多岐に渡ります。
現在は、常勤医師3名で週5日の外来診療および手術を行っております。今後も地域の皆さまのお役に立てるように診療を行って参る所存です。何卒よろしくお願いいたします。
また当科は、神戸大学形成外科専門研修プログラムの連携施設となっております。

診療内容

対象疾患

  • 熱傷、熱傷後瘢痕拘縮(ひきつれ)、肥厚性瘢痕(ミミズ腫れのような傷跡)
  • 頭蓋顎顔面外傷、変形(新鮮顔面骨折、陳旧性顔面骨折による顔面変形、動眼神経麻痺による眼瞼下垂、
    顔面神経麻痺、眼窩の変形、咬合不正、顎の変形など)
  • 耳介変形、多指(趾)症、合指(趾)症、先天性母斑などの小児先天性疾患
  • 乳房再建(人工乳房再建、自家組織再建)
  • 眼瞼下垂、眼瞼内反症などの眼瞼疾患
  • マイクロサージャリーを用いた各種再建外科、リンパ浮腫
  • 良性皮膚腫瘍、軟部腫瘍
  • 皮膚悪性腫瘍(基底細胞癌、有棘細胞癌、乳房外パジェット病、悪性黒色腫、隆起性皮膚線維肉腫など)
  • 褥瘡、難治性潰瘍
  • レーザー治療(太田母斑、異所性蒙古斑、外傷性刺青、自費レーザー治療(案内症例写真))

施設認定

  • 神戸大学形成外科専門研修連携施設
  • 群馬大学形成外科専門研修連携施設
  • 日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会
    乳房再建用エキスパンダー実施施設(二次のみ)
    乳房再建用インプラント実施施設(一次二期・二次再建のみ)

よくある質問

全般

Q1.診察には予約が必要ですか?

A.予約なしでも形成外科を受診していただくことは可能です。症状や緊急性にもよりますが、予約のある患者さんが優先となりますので、待ち時間が長くなる可能性がございます。なお自費レーザー外来のみ完全予約制です。予約なしの受診は受け付けておりませんのでご注意下さい。

Q2.診察する医師を希望することはできますか?

A.治療する疾患にもよりますが、診察を希望される医師がございましたらぜひお申し出ください。 その場合、受診日が変わる可能性がございます。

Q3.形成外科の手術日は何曜日ですか?

A.形成外科の定期手術日は、月、木、金曜日です。局所麻酔の手術であれば、火、水曜日に受けていただくことも可能です。

Q4.手術を受けるにはどれくらい待てばいいのでしょうか?

A.手術の内容によりますが、受診から手術までの期間は、だいたい1ヶ月後くらいです。7、8月および年末に手術を希望される場合は、手術希望日の3~4ヶ月前までに手術を予約されることをお勧めします。

Q5.手術は電話で予約できますか? 手術予約を電話で変更できますか?

A.手術の新規予約、予約した手術日の変更を希望される場合は、患者さんご本人が外来を受診していただく必要がございます。お電話での手術予約、手術日の変更は承っておりません。手術をキャンセルされる場合は、お電話でも結構です。

乳房再建

Q1.ティシューエキスパンダー留置中は何に気をつけたらよいでしょうか?

A.ティシューエキスパンダーが破損する可能性があるため、胸部を打撲、圧迫しないように注意してください。ティシューエキスパンダーには磁石が内蔵されているためMRIは撮影できませんが、胸部レントゲンやCTの撮影は可能です。また上肢の運動制限もありません。

Q2.帝王切開をしたことがありますが、下腹部の自家組織での乳房再建手術を受けることは可能でしょうか?

A.帝王切開や開腹手術の既往がある場合でも、下腹部の組織による乳房再建は可能です。術前の診察やCT検査により治療の可否を判断しています。

Q3.脂肪注入や再生医療だけで乳房再建を行うことは可能でしょうか?

A.脂肪注入や再生医療での乳房再建は保険診療の適応となっていないため、当院では行っておりません。

Q4.乳房再建により左右対称な乳房は得られるでしょうか?

A.自家組織、人工乳房のいずれの再建でも、できるだけ左右差の無い乳房を形成するように努めております。しかし、人工乳房は患者さんのオーダーメイドのものではありませんので、なんらかの左右差を生じる可能性があります。自家組織で再建する場合には、組織の量、形態の微調整が可能ですので、人工乳房に比べ自然な乳房形態の再現が可能です。下垂のある乳房では左右差を保つために、乳がんの手術を受けていない健側の乳房の形成手術が必要になる可能性があります。

Q5.手術後にシャワーには入れるでしょうか?

A.入院中は抜糸が終わっていなくてもシャワーを浴びていただくことが可能です。安全のため、創部のドレーンの本数が1、2本に減った段階でシャワー浴を許可しています。多くの場合、術後4日目以降にシャワー浴の可否を判断しています。

Q6.手術後の仕事はいつからできるでしょうか?

退院後の復職時期は業務の内容により異なります。激しい運動を伴わない業務であれば、退院翌日からの復職が可能なこともあります。しかし、手術を受けることや入院生活により体力が落ちるため、退院後1週間くらいは自宅療養されるのが望ましいと思います。

Q7.乳房再建を人工乳房でするか自家組織でするかで悩んでいます? どちらを選べばよいのでしょうか?

人工乳房と自家組織のどちらが良いのかは、われわれ形成外科医の中でも意見が分かれるところです。米国、日本では人工乳房による再建が全乳房再建の8割以上を占めていますが、長期的には自家組織による再建の方が患者さんの満足度が高いとの意見もあります。それぞれの方法の利点、欠点について主治医からお聞きになり理解されたうえで、治療法を選択されるのがよいと思います。

眼瞼下垂

Q1.手術を受けるか悩んでいます。どうすればよいでしょうか?

お顔の手術を受けるのはとても怖く感じられる方も多いと思います。しかし視野が狭く見えにくい、まぶたが重い気がする、などの症状が少しでもあれば、手術を受けられるのが良いと考えています。個人的な意見ではありますが、患者さんの術後の満足度も高いように思います。

Q2.手術の合併症にはどのようなものがあるのでしょうか?

出血、腫脹、紫斑、顔貌の変化、上眼瞼の知覚異常、角膜炎、結膜炎などを生じる可能性があります。腫脹、紫斑は内科疾患の合併や高齢の患者さんでは起こりやすいですが、術後2〜3週間でおさまることが多いです。

Q3.入院して手術を受けることはできるでしょうか?

入院して手術を受けていただくことは可能です。

Q4.手術により視力が下がることはあるのでしょうか?

眼瞼の手術が視力に影響することは、ほとんどありません。

Q5.手術を受けるのがとても怖いです。少しでも楽に手術を受ける方法はないのでしょうか?

入院で手術を受けていただく場合は、静脈麻酔により鎮静することが可能です。しかし、術中にまぶたの開き具合を確認する必要があるため、全身麻酔のように完全に無意識の状態にすることはできません。

リンパ浮腫

Q1.手術はどのような麻酔のもとで行うのですか?

手術は全身麻酔、局所麻酔のいずれの麻酔下でも行うことが可能です。1回の手術で多くのリンパ管静脈吻合を行う場合には、長時間の手術になる可能性があります。また、手術用顕微鏡を用いるマイクロサージャリーとなりますので、手術中に患者さんは極力動かないようにしていただく必要があります。これらの理由を鑑みて、全身麻酔下での手術をお勧めしています。

Q2.術後はどのくらいの痛みが生じるのでしょうか?

小さな皮膚切開で手術を行うため、患者さんが術後に強い痛みを感じることはあまりありません。必要に応じて、鎮痛薬を処方することもあります。

Q3.手術の後、日常生活や仕事にはいつから復帰できますか?

日常生活への制限はほとんどないため、患者さんには手術翌日から通常の生活に復帰していただくことが可能です。仕事に関しては、軽作業であれば手術翌日以降に復帰していただくことが可能ですが、作業内容にもよりますので担当医にご相談ください。

スタッフ紹介

形成外科部長西尾 優志(にしお まさし)

卒年平成18年 大阪医科大学医学部卒業
所属学会・専門資格等日本形成外科学会専門医・領域指導医
日本創傷外科学会専門医
日本形成外科学会皮膚腫瘍外科分野指導医
日本形成外科学会レーザー分野指導医
日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会乳房再建用エキスパンダー/インプラント使用責任医師
神戸大学医学部臨床講師

形成外科医師小林 里佳(こばやし さとか)

卒年平成29年 香川大学医学部卒業
所属学会・専門資格等日本形成外科学会専門医

形成外科医師小松 友紀(こまつ ゆき)

卒年平成31年 鳥取大学医学部卒業